俳人が愛する京唐紙に学ぶ
30年に渡り
お付き合いくださっている俳人が
句集を出版されました。
装幀から題字、
挿絵までこだわり抜いた
粋な書物と私は受けとめています。
その生き様が俳人の筆跡とともに
あるがままに感じられる一冊です。
『大楽』と題された句集。
真珠色の表紙をめくると
おだやかな美しい紋様をたたえた和紙が
目に飛び込み、
私の手はとまりました。
その和紙のふんわりとしていて
あたたかな色彩は触るのも
気が引けてしまうくらいです。
「京唐紙」であると後にわかり、
京都の歴史的な建造物には
欠かせない紙であることを知りました。
桂離宮や二条城にも使われていると知れば、
400年に渡り京都の雅の一端を担ってきた
唐紙は美しさとともに技術を継承する
日本の技であると言わざる負えません。
これを現代に継承されている重みを
紙一枚で感じさせるもの作りに
脱帽する思いです。
俳人がなぜこの唐紙にこだわっているのか、
その想いを俳句と並行したレベルの高さを
感じずにはいられない句集。
細部にまでこだわることの
大切さをも学んだ一冊です。
いつかまた古刹を巡る時、
時代物の唐紙を探す喜びを頂戴しました。