Vol.8 裂織の温もり
15年前に取り組んだ裂織の布。
薄いシルクを
大きなペンキ塗りの刷毛で染めて、
和鋏で布をカットして
布玉を作る作業を楽しんでいました。
織手の職人さんと差し色を打ち合わせ
経糸の素材を変えていく作業は
かなりの手間でしたが、
しなやかな絹の織物が
出来上がった時の喜びは格別でした。
テキスタイルの面白さに
どっぷり浸かっていた時代。
ムー•ジュオリジナルの布は
重厚感にあふれていたように思います。
しだいに新しい繊維が
世の中に台頭するようになってから
手間のかかる面白い布は
遠ざけられてしまいましたが、
久しぶりにこうして手にとってみると
まさにビンテージ感溢れるステキな布が
健在であることに大きな喜びを感じました。
sdgsの言葉を耳にする機会が多くなる昨今。
この冬、天然素材100%のコートに袖を通して
北風に向かい歩いてみたいとふと思いました。