Vol.1 刺し子ステッチのブラッシング
ムナカタステッチをはじめて15年の時が流れました。
私たちの初期の作品を今でもご愛用くださる方にコツを伺うと、
やはりご自分なりのメンテナンスをしていらっしゃいます。
写真は店主祖母の大島紬にステッチをかけたコートです。
作業を施してから10年近く経ちますが、
しなやかな生地に変わり味のあるコートになりました。
今回はブラッシングをご紹介します。
まず、帰宅したら玄関先で埃を払います。
春先は特に花粉や、福岡ですと大陸からの黄砂で生地を傷めます。
ブラシはできるだけ天然植毛されたものをおすすめいたします。
静電気を防止するためには適度に油分と水分を含んでいる
豚毛などを選んでいただけるとよいでしょう。
まず衣類を肩の厚みのあるハンガーにかけてつるします。
布目に沿うように、ブラシは下から上に向かって
手首を回転させるようにかけていきます。
埃は上から落ち糸目の上に溜まります。
ブラッシングによって埃をかき出すように
軽くやさしく手を動かします。
最初に繊維の目に沿って上からブラシをかけると
かえって埃をステッチの中に押し込むことになります。
仕上げにブラシを上から下に向かって
繊維の目に沿うようにやさしく払うようにしてください。
ステッチの糸の間に空気が含まれ
フワッとした仕上がりになります。
大切な衣類はブラッシングすることにより
洗う回数が減り長持ちするようになります。
最後に、ブラシは吊るしたまま収納ください。
ブラシの毛の間に埃がたまらないようにすることもお忘れなく。